2015年8月15日土曜日

オープンキャンパスが学生指導にもたらす効果

皆さん、こんにちは。

今年の夏は暑い日が続いていますね。大学では、あと1ヶ月ほど夏休みです。夏休みは、自身の研究を進めるとともに、後期の授業準備を行う大事な時期でもあります。

この時期は、各大学でも受験生獲得のため、盛んにオープンキャンパスが開催されています。情報大のオープンキャンパスは、7月18日(土)、8月1日(土)、2日(日)の3日間で開催されました。






昨年度までのオープンキャンパスでは、河野ゼミとしての展示はほとんどなく、佐原シンポジウムで作ったパネルを再利用して私が説明をしていました。今年は、学生主体で展示を行うように、パネル作成とオープンキャンパスでの説明を学生が行いました。学生が作ったパネルをゼミでレビューして、プロジェクト毎に計7枚のパネルができました。今後の各種イベントでも展示できそうです。



今回、オープンキャンパスを通じて、学生主体で展示作業を進めたところ、以下の3点の効果が確認できました。
  1. 学生自身が卒論の状況を整理し、今後の課題を認識できる
  2. 来場客に説明することで、学生の研究に対する理解を深めることができる
  3. ゼミ運営に学生が主体性に関わることができる
まず1について、事前のパネル作成作業では、学生が作ったパネルをDropboxで共有し、ゼミ全体でレビューしました。研究の目的、手法、課題などを学生自身がまとめることで、卒論の状況を自ずと把握できます。他の学生に対するコメントも、ゼミ内で共有することで、他山の石と思って、自身の研究にフィードバックできることを期待しています。ただ、他の学生に対するコメントを自身の研究に置き換えて考えるにはまだまだ課題がありました。それができるかできないかで、だいぶ成長に差が出るでしょうね。

次に2について、一般の方に自分の研究を説明するのは、意外と難しいのです。ゼミにソーシャルシフトについて研究している学生がいますが、これは特に説明が難しいテーマです。来場の高校生よりも、そのお父さんに説明したほうが伝わりやすいだろうと学生には伝えています。しかしながら、例えば以下のやりとりで果たして伝わるでしょうか?

----説明が伝わりにくい例----
学生:「ソーシャルメディアをご存知ですか?TwitterとかFacebookとか」
保護者父(以下、父):「聞いたことはあるけど、使ったことはないね」
学生:「ソーシャルシフトというのは、ソーシャルメディアの発達した現代に適応する企業の経営改革のことです」
学生:「そのためには、『1. ブランド哲学』、『2. 社員共働メカニズム』、『3. ビジネスモデル』があり、『4. 顧客経験価値』を提供することで、結果的に『5. 事業成果』が達成されるという、インサイドアウトの流れが不可欠です」
父:「はあ・・・」
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だいぶ極端に書きましたが、これでは伝わりませんね。相手の目線に立って説明する努力が必要です。学生には、例えば以下のように説明すると分かりやすいだろうと伝えました。

----説明が伝わりやすい例----
学生:「普段、お仕事でお困りのことはありますか?例えば、部下で言われないと何もしない人がいるとか、自分で仕事を組み立てられない人が多いとかはないですか?」
父:「それ、よくあります」
学生:「そういった時に役に立つ考え方を研究しています。自律的に行動できないのは、価値観が共有されていないからです」
父:「確かに、それはあるだろうと思います」
学生:「最初に、自分達がどうあるべきかといった価値観を議論し、その考えが全社員に浸透することで、各自が自律的に判断し行動できるという考え方です」
父:「それができると本当にいいですね」
学生:「この考え方は、内側から外側を変えるインサイドアウトというもので、それを全社員に浸透させるために、FacebookやTwitterといったソーシャルメディアを積極的に活用しようとするものです」
父:「なるほど!そういうことなんですね」
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これだけで必ずしも伝わるという訳ではありませんが、相手の土俵に立って理解しやすい言葉で説明することで、自分の研究の意義が伝わることは往々にしてあります(参考:書評『ソーシャルシフト 新しい顧客戦略の教科書』と活動報告)。社会人経験のない学生にはイメージしにくかも知れませんが、保護者の方にはこう説明したほうが理解されやすいです。こういった経験ができたことは、学生にとってよい経験になったのではないかと考えています。

最後に3について、こういったイベントに学生が参加することで、ゼミの展示を皆で準備したり、他の学生に代わって説明したり、説明員とデモで協力して説明したりと、ゼミをよくするために、ゼミ生全員で考え、行動することができたと考えています。


終日活躍した学生は、だいぶ疲れたと思いますが、ゼミ運営に貢献してくれて、晴れやかな表情でした。こういった活動での貢献感、一体感、他者との協力がゼミ活動での主体性に大きく影響すると考えています。私が個別に指示や指導をしなくても進んでくれるのは、とても助かります。今後が楽しみですね。

それでは、今後ともよろしくお願いいたします。