先日、千葉市花見川区との連携による魅力発信プロジェクト「花見川どっとcom!」の一環で区内の犢橋高校で出張講義をして来ました。テーマは、高校生のためのソーシャルメディア活用とリテラシー教育についてです。なお、講義のスライドは本エントリーの最後に載せておきます。
図1.講義の様子
ソーシャルメディアリテラシーとは?
講義の中で、ソーシャルメディアを利用する上でのトラブルや被害に対する質問を頂きました。そこで今回は、ソーシャルメディアを賢く使っていくためのソーシャルメディアリテラシーを掘り下げてみます。まず、ソーシャルメディアリテラシーとは、「ソーシャルメディアをうまく活用できる能力」のことを言います。具体的な能力としては、以下の3点が挙げられます。
- トラブルに適切に対応できること
- 情報の公開範囲を管理できること
- 他者と適切にコミュニケーションが取れること
ソーシャルメディア上で情報発信をしていると、コミュニケーションの齟齬や人間関係など、必ず何かしらの問題は発生すると考えておいた方がよいでしょう。そのような問題に対する適切な対処方法や考え方を身に付けておくことはとても大切です。
ソーシャルメディアを使った人付き合いは、基本的には普段のコミュニケーションと同じと考えてよいのですが、インターネット上で様々な人達が見ているという意識を持ちましょう。この「見られている意識」というのが重要で、オンライン/オフラインに関係なく、「どこに出しても恥ずかしくない自分」を心掛けることが大切です(参考:ワークショップを活用したソーシャルメディアリテラシー教材作成)。
トラブル対処の際に大切なこと
ソーシャルメディア上でのトラブルには、『加害者になる』『被害者になる』『コミュニケーションの齟齬が発生する』などがあります。それでは1つずつ見ていきます。加害者になる
上記3つの中では、最も気を付けるべき点と考えています。もちろん悪意を持って他者を貶めることは論外としても、自分が意図せずに迷惑を掛けてしまうことは十分にあり得ます。これは不用意に他人の情報を公開してしまうことで発生し、例えば写真の掲載やFacebookでのタグ付けなどがあります。他人が写った写真を掲載してから問題となる場合がありますので、一度相手に確認を取ることが基本です。特に、個人が特定でき、その時間と場所が分かるような場合は、相手にも事情がありますのできちんと確認しておきましょう。ちなみに、Facebookでは自分が友達からタグ付けされた際に、タイムラインに掲載するかどうかを確認することができます(図2)。プライバシー設定から行えるので、気になる場合は試してみてください。
ここで最も重要なことは、『気を付けるのはお互い様』ということです。上記をことを自分自身が気を付けるようにし、周りの人達も気を付けるようになれば、以下の被害者になる可能性も少なくなります。
図2.Facebookのプライバシー設定
被害者になる
現在ソーシャルメディアを利用してない、あるいは使い始めてから日が浅いという方にとって、最も気になる問題の1つだと思います。最近では、FacebookやTwitter、LINEに関連した事件、犯罪が報道されることもあり、人々の関心は高いと思います。ただ、ここで大切なことは、ソーシャルメディアはあくまでツールの1つであり、それ自体に良し悪しはないということです。問題の多くは、個人の情報管理に対する知識やモラル、実際の人間関係などです。
情報管理に関しては、ソーシャルメディアに登録されている自分の情報とその公開範囲を理解した上で使っていく必要があります。例えばFacebookに、自分の生年月日や住所、電話番号、メールアドレスなどの個人情報を登録していますか?それを見られるのは誰ですか?友達になっている人は皆知っている人ですか?
このような問いに自問自答していくことが大切ですね。他人に公開したくない個人情報は登録する必要はありませんし、公開する範囲も自分で管理することができます。
次に、位置情報(foursquareやFacebookでのチェックイン)の管理も重要です。自分の現在位置を誰にどこまで知らせるかを考えて使いましょう。特に女性の場合は注意が必要なこともあります。例えば、チェックインはお店を出るときに行うという方もいます。つまり、自分が今いる場所は知らせたくないけれど、自分がいた場所は知らせてもよいということのようです。
その他、具体的なトラブル対応については、普段からソーシャルメディアを使っていなければ、対処方法は何も分かりません。場合によっては、自分自身がターゲットにされていることさえ気付くことができません。この辺りは、Qixilで質問をしたこともあり、大変有益な回答を頂いております。
(参考:大学の授業でソーシャルメディアに登録する際の学生のフォロー|Qixil)
コミュニケーションの齟齬が発生する
普段利用していて最もよくあるのが、他者とのコミュニケーションの齟齬だと思います。どうしてもネット上では顔が見え難いので、誤解が生じてしまうことはあります。そのような場合に、相手とのコミュニケーションを拒否してしまうのは、あまりおすすめできません。相手と前提とする部分が共有できていなかったり、重要と考える部分が異なったりしたために齟齬が生じた可能性があるからです。『問題はコミュニケーションで解決する』というスタンスが大切です。このような場合に誠実に対応できるかが本当に問われる時代になったと思います。ただし、ソーシャルメディアは議論に適さない場合もあるので、問題の内容や深刻さによっては実際に会って話しをする方がよいです。
今回はソーシャルメディアリテラシーについて、私の考えを述べました。ご意見、コメントなどがありましたらどうぞお寄せください。それでは、次回もよろしくお願いいたします。